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高血圧

高血圧とは?わかりやすく解説

高血圧とは?わかりやすく解説血液が動脈を通る時に血管の内側を押す力を血圧と呼びます。血圧の上、下、という表現がよく使われますが、上は心臓が縮んで血液を流れ出す時の最高血圧(収縮期血圧)で、下は心臓が広がった時の最低血圧(拡張期血圧)を意味します。
高血圧とは、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の状態です。
血圧は心拍出量である心臓から流れ出る血液量と血管内径である血管の太さ、そして血管壁のしなやかさによって変化します。血液量が多いと血管壁を強く押すため血圧が上がります。また、末梢血管が様々な原因で縮こまったり細く硬くなったりしても高血圧になります。

どのくらい高くなったら危ない?

高血圧は血圧が140/90mmHg以上になった状態です。1%未満の確率ですが悪性高血圧症になる場合があります。
悪性高血圧とは、収縮期血圧が180mmHg以上となるとともに、腎臓、心臓、脳などの諸臓器にダメージを与えて突然増悪するリスクがあります。このように急に血圧が高くなった場合は速やかに医療機関にご相談ください。

高血圧の症状は自覚症状なし?

高血圧の症状は自覚症状なし?日本人で高血圧になる方が多いですが、大半の場合は症状が現れません。
次のような症状に気づく場合があるため要注意です。

初期症状

頭痛

  • 拍動性の痛みが多く、体を動かくと増悪することが多い
  • 頭の右側左側ともに発生しやすい

多くの場合、軽度〜中等度の高血圧では頭痛は起きないですが、収縮期血圧が180mmHg以上、拡張期血圧が120mmHg以上などの重度の高血圧や、急に血圧が上がる場合には頭痛を感じる場合があります。

めまい・吐き気

吐き気やめまいを引き起こす原因は数多くあり、すべてはご紹介できませんが、次のような要因が挙げられます。

  • 耳(三半規管)の疾患:前庭神経炎やBPPV、メニエール病など平衡感覚をコントロールする三半規管に問題が生じて、めまいを感じる場合があります。ストレスによって高血圧になりやすく、目がぐるぐると回るようなめまいを生じることが多いです。
  • 脳疾患:高血圧により脳疾患が発症した場合にめまいを感じることがあります。高血圧脳症や脳出血によってめまいが出現する場合があります。
  • 不整脈:血圧が高いと当然ながら心臓に負荷がかかります。不整脈を発症している方は、めまいの中でも前失神と呼ばれる症状が出る場合があります。
  • ホルモン疾患:甲状腺疾患などによりめまいや高血圧が出現する場合があります。

動悸

高血圧によって心臓に負担がかかり、動悸などの症状が現れやすくなります。
欧州心臓病学会(ESC)と欧州心臓リズム協会(EHRA)が開催する高血圧評議会では、動悸と高血圧には次のような関係があると考えられています。

  • 脳の血栓を引き起こす心房細動のうち、14%が高血圧によって発症しており、原因として一番注目すべきリスクだと考えられています。事実として、心房細動を発症した方の7割が高血圧を患っています。
  • 高血圧になると、睡眠時無呼吸症候群の影響で心臓のリズムをコントロールする洞結節などにトラブルを与える危険性があります。
  • 心房細動の中でも、安静時心拍数が80〜85回以上まで上がっている場合は、高血圧の方の中でも予後が悪いです。

視力の低下

高血圧により血管症状が生じて、視神経乳頭がむくみを起こして網膜出血を生じる、高血圧網膜症と呼ばれる疾患があり、ある程度早い段階から目が見えにくくなる場合があります。
高血圧網膜症は急に血圧が上がることで網膜血管が縮こまることが原因です。ひどい高血圧や慢性的な高血圧が持続した場合、目の中の血管内皮が損傷を受け続け、眼の細胞が壊死してしまうことがあります。こうして目が見えなくなっていきます。
ただし、早い段階では眼の不自由に気づかない場合が多く、病期が進んでくると視野欠損や目のかすみを自覚する場合があります。

受診が必要な症状・合併症

慢性的な高血圧状態になると、血管や心臓に負荷がかかって心筋梗塞や脳卒中などの疾患が発症する可能性があります。
長い間放っておくと知らないうちに数多くの合併症が現れてしまう場合も多くあります。一定の期間ごとに血圧測定を行い、自身の血圧の状況を確認しましょう。

  • めまい、頭痛、言語障害、運動障害、手足のしびれ:脳出血や脳梗塞をはじめとする脳血管疾患
  • 認知機能が低くなる
  • 胸痛、呼吸苦:心筋梗塞、狭心症、不整脈などの心疾患
  • むくみ、蛋白尿、夜間尿回数の増加、尿量が多い:腎機能が悪くなっている
  • 歩いた時の痛み、足の冷え、足のしびれ:閉塞性動脈硬化症

高血圧の原因

生活習慣などの環境的要因と遺伝的要因により高血圧を発症します。
高血圧が持続すると動脈硬化が悪化して血管が硬化し分厚くなり、細くなって血流が悪くなりますが、その状態でも血液を届けようとして高血圧の状態になります。このような負のスパイラルによって高血圧が進んでいきます。

遺伝による影響

高血圧症は遺伝的な要因も関わっています。具体的には、父親も母親のどちらか片方が高血圧症の場合は3割程度の子どもが高血圧症に、両方の場合は半数程度の子どもが高血圧を発症すると言われています。しかし、高血圧の遺伝子そのものがあるわけではなく体質が遺伝すると言われています。また、食生活を含む生活習慣が家族で同じようになることも関係していると考えられています。

環境による影響

塩分の取り過ぎ

私たちの体には体内の塩分濃度を同程度に保つシステムが備わっているため、塩分摂取が過剰になると濃度を元に戻すために体内の水分量が増加し、血液量も増えて血圧が高くなります。

カリウムを豊富に含む果物や野菜の摂取不足

塩分の構成分子であるナトリウムは、余分になると腎臓から体外に出ていきますが、カリウムが十分になければナトリウムがしっかりと体外に出ていきません。そして、血液中の塩分濃度が上昇するため血液量が増加し、血圧が高くなります。

太り過ぎ

脂肪細胞から動脈硬化を進めたり血圧を高くする物質が出ています。インスリンの機能が低下してこれらの物質の血中濃度が上昇すると、交感神経を通じて血管が縮こまります。中でもメタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)には気をつけましょう。体重が増えるほど血液量が増えるため、太り過ぎると血液量が増加し、心臓に負荷がかかります。

お酒の飲み過ぎ

毎日のようにお酒を多量に飲むと血圧が上がり、中性脂肪が増加して動脈硬化が悪化していきます。お酒は百薬の長と呼ばれているため、精神的に落ち着いて血圧が下がると思われがちですが、飲み過ぎると血圧が上がってしまうため適度な量に留めておきましょう。

ストレス

精神的にストレスを感じると交感神経を刺激して血管が縮こまり、心拍数が増加するとともに、心臓の収縮力も強まって血液量が増加します。

運動不足

運動を十分に行わないと血行が悪くなり血圧が上昇します。毎日の生活の中で座っていることが多い方は高血圧になりやすいと考えられます。

タバコ

タバコにはニコチンと呼ばれる物質が含まれ、交感神経が活発になり、血圧を上昇させるホルモンの産生量が増えて血管が縮こまります。また、働きが特に強まった活性酸素という酵素が血液中で増加することで動脈硬化が進みます。

改善・治療方法

改善・治療方法高血圧を治療する方法は、降圧剤という血圧を下げる内服薬と生活習慣の見直しの2つがあります。お薬を飲めば100%高血圧が改善するわけではないため、できる限り生活スタイルも見直すようにしましょう。

高血圧の時の食事改善

高血圧の時の食事改善高血圧の方は食生活を改善することが重要です。塩分やエネルギーを摂取し過ぎないようにして栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

適正体重を保ちましょう

肥満になると血圧が上がりやすいため、調理油や揚げ物など油脂、嗜好飲料やお菓子などの糖分を摂取し過ぎてエネルギーの摂り過ぎにならないようにし、適正体重を保ちましょう。
また、早いスピードで食事をするとエネルギー摂取が過剰になりやすいので、時間をかけてしっかり噛んで食べるようにしましょう。

栄養バランスがとれるように規則正しく3食食べましょう

どの食事においても、主菜、副菜、主食をきちんと食べましょう。
主菜は卵、肉、大豆製品、魚などで血管を強くする働きがあります。副菜は、ビタミンやミネラルが含まれるきのこ、海藻類、野菜類などを準備しましょう。主食はパンやご飯などで、エネルギーの原料になりますが、摂取し過ぎにはご注意ください。

塩分は控えめにしましょう

塩分を過剰に摂取すると血圧が上昇してしまいます。食料品の選択や調理法、メニューを考えて塩分を減らすようにしましょう。加工食品にも塩分が含まれているため、それらも含めて1日に6g未満に抑えましょう。

(1) 食料品の選択方法

塩蔵品や加工品を控えて生の食品を選択するのがお勧めです。

(2) 調理法の工夫

汁物や煮物を作る時は天然だしを用いれば薄味でも美味しく食べられます。

動物性脂肪を避けましょう

肉の脂身やバターなどに含まれる動物性脂肪は、血液中のコレステロールを増加させる一方で、さんまやイワシなどの魚油や植物性脂肪には減少させる効果があります。動脈硬化が進まないように、肉のみ食べるのではなく豆腐や魚もバランスよく摂取しましょう。

お酒は医師に相談しましょう

日常的にお酒を飲んでいると血圧が上がっていきます。男性は1日あたりエタノール換算で20〜30ml、女性では1/2程度の10〜20ml以下を目安にしましょう。20〜30mlのエタノールとは、ワイン2杯弱、ウイスキー・ブランデーダブル1杯、焼酎半合弱、ビール中瓶1本、日本酒1合程度が目安になります。お酒を飲む場合は医師にご相談ください。